<ひょうたん島への漂着、出会い、そして独立国の開国>


どうやら、歴史的に知られていない孤島が、地球上にはいくつもあるらしい。 そういう島へ漂流した人が今日まで数知れずいたが、島のありさまを伝える記録はほとんど残されていない。 しかし、21世紀の現代に孤島に流れついた男たちがいた。

登場人物 

ソンチョウ シャープ
ブンゴウ
タネダ
イットウカ
ハクナイ
ショーゲン
ドラドラ


■二人の出会い■


「ああ〜 よく寝た。ところでここはどこなんだ。ドアのノブを
 ひとひねりして『ドラッ!』の一声で飛び出してきたんだがナ〜」

 

「おや! 砂をかぶって寝ている変な奴がいる。腹が異様に膨らん
 でいるな。孤島のタヌキかな」

 

「静観。物音が聞こえる。誰だこっちに向かって歩いてくる奴は。
 こんなところで人間に合うとは?」

 

「Who are you?……… Wer?……… Qui?………
 お前は誰だ? 名をなのれ!」

 

「そんな大声を出すな。オレはジャパニーズだ。ドラドラという者だ。
 お前もジャパニーズらしいな。名はなんと言う?」

 

「放浪の俳人の血液A型を継承するタネダ・イットウカじゃ。
 鏡と鏡の間に立って呪文を唱えるとここまでたどり着いたのじゃ」

 

「そんなことより腹が減った。何か食い物は持ってないか?
 仲間になりたいなら挨拶がわりに食い物を寄こせ」

 

「何にもねえ。おれもハラペコだ。おい! あの森から煙が立って
 いるのはなんだ」

 

「そんなこと知るかよ。いや! ひょっとするとひょっこりするかも
 知れない。まあ行ってみるか」

 

「ドラドラ! もっと早く歩けよ。それに忍び足だ。どういう人種が
 いるかわからないから用心、用心じゃ」

 

「うるせーなもう。おっ! 焚き火の火が見えた」
 

 

「これは食い物にありつけるかも」  
 

 


■そして、五人の出会い■



「誰じゃお主たちは? どこからやって来た」
 

 

「漂流民さ。オレは飛んできたんだが」

 
 

「飛んで。それは文学的に認識するとなかなかSF的だ」

 
 

「SFもSMどちらでもいいけど、食い物はないですか」

 
 

「我々もこの島に流れ着いたのだよ。海縁べりで偶然出会って、
 やとのことで貝を採り、あぶって食っているところなんだ。」

 

「それは文学的に理解すると、貝食ということでしょうか」

 
 

「そういう解釈もある。客人にひとつあさりを食してもらってはど
 うかな」

 

「ありがたいです。ドラドラもいただいてはどうか」  
 

    

「悪いな、(もぐもぐ)もう食っているんだ」


 


■ひょうたん島?■



「ところで、この島はひょうたんに似ていると思わなかったかな」

 
 

「そこなんだよ、ショーゲンさん。どうも不思議な形をしているなと
 チャプチャプ筏に乗ってたどり着いた時に思ったよ。歴史文学的に
 解釈するとひょうたんは縄文文化の重要なカギなんだ」

 

「そこじゃ。縄文文化、実は現代に最も必要な時代感覚じゃ。
 ひょうたんは縄文人になじみ深いものだった。数々のひょうたん伝説が
 残されているんじゃ」

 

「ここは、ひょうたん島じゃないですかねえ」

 
 

「何年も前に、都会のテレビジョンで見たひょうたん島にそっくりだよ」

 
 

「ひょうたん、縄文、漂流民、何かミステリアスだ(もぐもぐ)」

 
 

「今のところ、この島には5人だけのようじゃ。考え方によっては
 パラダイスじゃ。これまで暮らしていた国にはない自由がある。
 ここでは、何か本当にやりたいことができそうじゃ。
 そうは思わんか皆の者」

 

「昔々、見たひょうたん島の物語は、いろいろな人種や動物、植物が
 分け隔てなく共存していたなあ。人間中心主義やヒューマニズムと
 いう言葉さえなかったようだ」

 

「つまり、あの時代にすでに21世紀の生存のありかたを宇宙規模
 で語っていたわけでしょう」

 

「そいうことじゃ。この島で出会ったのも何かの縁。今までやりた
 くて出来なかったことを思う存分やってみようじゃないか」

 

「それはいい。ぼくはSF的に島から抜けだして写真記事を発信しよう」 

 
   

「ぼくは占いが得意なので、この島の自然を見直してオリジナルの
 占いを開発したいな」

 

「わたしはやり残したことが山ほどある。前の国で書けなかった
 都会人の取材の裏話、う〜んそれに実は文芸評論も」

 

「それならわたしは、この島を探索して探検記をまとめよう」
    

 

「これはなかなか面白くなってきたわい。みんなで知恵と勇気と汗
 を出して、我々の独立国をめざそう」

 

「そうなるととりあえずリーダーを決めることだな」

 
     

「まずは引き受けた。しかし任期を設けておきたい。1年じゃ。
 それに、最低限の約束事は決めておこう」

 


[ひょうたん島独立国憲章]

  1. 決して童心を失わないこと。未だに成人への成長過程と肝に銘じるべし。
  2. 人間も自然の一部である。この島、この星に生きとし生きるすべてを共存
    する同胞と思うべし。
  3. 生きてきた年数で生き物の価値を問わないこと。人間しかり、動植物も同じ。
  4. 1日1回は、大声で笑うこと。笑う門に福来る。怒る門には鬼来る。
    なにごとも肯定的にとらえるべし。
  5. すべてに感謝の気持ちを持つこと。