タネダ・イットウカ

この世に生を受け、
4歳にして親の目を盗んでは放浪を続けた。
心温かい人々の慈愛に恵まれ、
夕餉の施しは何度となくあずかったが、
満腹感を味わう間もなく、我が家へ送還された。
この習性は大人になった今も尾を断たない。
ある日、夕暮れの公園で見知らぬ老人が
歯の抜けた口元に笑みを浮かべて私に言った。
どこか、誰も知らない遠いところへ行くには、
鏡と鏡を合わせてその真ん中に立ち、
午前0時丁度に「キッチムンド・カッチムンド」
と唱えればいいと。
その結果、私は見事にこの島に飛来したようだ。